【加藤 春佳 略歴】
大手住宅メーカーの営業職を経て、2016年4月にシュクレイ入社。同7月に催事を扱う特販課に配属され、羽田空港をメインに各地の催事に携わる。2017年12月に販売部に異動、シュクレイ初の工房一体化店「CowCow Kitchen」北千住店の立ち上げに店長として参画。2018年12月から工房一体化店「メープルダイナー」新宿ミロード店の店長になり、コロナ禍での厳しい運営を任される。2019年に結婚。2020年5月から産休を取得し、2022年4月に復帰。通販課に配属、急成長中のEC事業の商品管理、出荷を担当しながら、より働きやすい職場作りに力を注いでいる。

入社当時の気持ち、思い出

「本当に?」と思うくらい、褒めて、褒めて、私を伸ばしてくれる会社

Q.入社動機、シュクレイの入社時の印象は?

シュクレイと出会うきっかけになったのは、前職が大手ハウスメーカーであったことも関係しています。ひとつの取引が億単位という職場でしたが、成約しても私自身はあまりうれしいと感じられなかったんです。その反動なのか、大規模なものよりもっと身近なもの、もっと直に人をハッピーにできるものに携わりたいという気持ちが大きくなっていきました。
私って、もともと何かを始める時に振れ幅が大きいタイプなのかもしれません。大学での専攻は生物学で、菌の遺伝子の変異株の研究をしていたんです。大腸菌を育てるとか、菌の株を育てるとか。将来の進路も、周りはみんな教師や研究職を選ぶ人がほとんどでした。その中で、私は菌を扱いながら、もっと人と関わる仕事がしたいと考えていたんですよね。それで仕事として選んだのが、大手ハウスメーカーの営業職でした。
ミクロの世界から大規模な不動産に、そして、次は大規模なものから身近なものに。なんだか行ったり来たりですね(笑)。

シュクレイのことは転職エージェントの紹介で初めて知りましたが、お菓子ってネガティブな気持ちで買う人が少ない商材だと思うんです。プレゼントだったり、自分や家族の楽しみだったり。まず、その点に惹かれました。
そして、実際に面接を受けた時、会社の前向きな雰囲気をすごく感じたんです。大手企業にはすでに作り上げられているものがあって、それに準じて働くことが良しとされます。ところがシュクレイは真逆でした。面接のお話から「今から作っていきます」「これから成長していきます」という姿勢が伝わってきて、そこがいいなと思ったんです。

入社しての印象は、とにかく、たくさん褒めてくれる会社だということ。何をしても「すごいね!」とか「頑張っているね!」とか、上下の関係もなく褒めてくれます。最初は「本当に?」と疑心暗鬼になるくらいでしたね(笑)。でも、みんな本気で褒めて伸ばそうと思っていて、しかも、その姿勢が全然ブレぶれません。会社の経営理念手帳「こづち」(120の経営フィロソフィー)にももっと褒めよう、長所を伸ばそうという趣旨の項目があるのですが、まさに会社一丸となって、私を褒めて、伸ばしてくれる感覚です。
今まで仕事は見て覚える、訊いたら叱られる、それが当たり前だと思っていたのに、シュクレイではわからないことは訊いていいし、そんな自分を褒めてくれるのが当たり前という環境に変わったのです。おかげですごく前向きな気持ちになれました。

起点 -ターニングポイント-

「短所は個性だよ」。この一言でネガティブな固定観念から解放された

「短所は個性だよ」。この一言でネガティブな固定観念から解放された

Q.現在のポジションに至るまでに起点となった出来事、マインドセットは?

私の起点といえば、やはり最初に配属された特販課になります。特販課は催事を行う部署ですから、羽田空港をメインにしながら、各地の催事に出向いていきます。羽田空港が新しいブランドのお披露目の場になる機会が多かったこともあり、各地の催事も含めると、特販課時代にシュクレイの全ブランドを経験させていただきました。
それに、羽田空港ではとてもコンスタントにシュクレイが出店するため、シュクレイの販売を社員よりわかっているようなベテラン販売員さんもたくさんいらっしゃいました。私の販売の基礎は、販売員の皆さんに教えていただいて出来上がっていったと思っています。

こうして皆さんに育てていただいている中で、自分がどう働けばいいかという指針をくれたのが、特販課のマネージャーの茂木さんでした。面談の中で、これから特販課をどう作っていきたいかというお話があって、私の中で目標がとても明確になりました。「この方向に進めばいいんだ。頑張ろう!」と素直に思えたんです。
店長を任せていただいてからも、茂木さんは店長の立場では経験できないような商談にも同席させてくださいました。とにかく自分の仕事の幅がどんどん広がっていくようで楽しかったですね。

実は、茂木さんが面談の時にかけてくださった言葉で、今でも忘れられないものがあるんです。それが「短所は個性だ」という言葉。ずっと「短所は良くないこと、直さなければいけないこと」という固定観念があったのですが、この一言でそうではないと思えるようになりました。私自身の短所もそうですが、その後店長としてアルバイトさんたちを教育していく時にも、「何でこれができないの?」ではなくて、「短所は個性だ」「この子はこれが個性であって、違うところを伸ばせるんだな」と、アルバイトさんたちと向き合うことができました。

スランプで得た気づき。「答えがないなら自分が提案すればいい」

スランプで得た気づき。「答えがないなら自分が提案すればいい」

特販課に1年半ほど勤務して、その後CowCow Kitchen北千住店の立ち上げに店長として異動することになりました。茂木さんの示してくれたビジョンのもと、自分なりに特販課をどうしていこうかと考えていた時だったので、この時点での異動は正直、納得できませんでした。でも、お店でお菓子を作ってお客様に提供するという「工房一体化店」はシュクレイにとって初めての試みでしたし、それを成功させるために力を貸してと言っていただいて、気持ちを切り替えて取り組もうと決めました。

新業態の立ち上げは、何から何まで手探りです。前例がないので材料の発注すら参考になるものがありません。売上自体は良かったですが、利益率や人件費など、経営目線から見ると課題はたくさんありました。進むべき道がわからなくて、進んでみたら違っていた、別の道に進んでみたけれど、それが正解かどうかわからない。どんどん進みたいのに明確な指針が見つからないジレンマに陥って、半年くらいはスランプ状態でした。
でも、自分なりにいろいろ悩んだ結果、誰にも正解がわからないなら、自分で提案して決めていけばいいと気づいたんです。このことに早く気づいていたら、もっと売上が上げられたし、いい雰囲気も作れたかもしれないと、今は思います。ただ、この経験があるからこそ、次のメープルダイナーには「同じことは繰り返さない。次は改善していくぞ」という気持ちで向かうことができました。つまり、スランプではあったけれど、ツイてたってことです(笑)。

まだまだ、こんなもんじゃない!エネルギー爆弾をアップデート

メイプルダイナー新宿ミロード店は、CowCow Kitchenに続くシュクレイの工房一体化店です。CowCow kitchenで一緒に働いていた袖山さんが副店長として参加してくれたので、気持ち的に余裕を持って店長として準備を進めることができました。
オープンから数カ月、すごい馬力で頑張ったのですが、お店の運営が落ち着いてくると自分のモチベーションが少し下がってしまって、プラスの施策がなかなかできず、現状維持で精一杯という状況になってしまいました。そんな時に、当時のマネージャーの山下さんとエリア統括の長部さんが、私が気持ちを切り替えるきっかけをくれました。「どうした? あなたの力はこんなもんじゃないでしょ?」みたいな感じで。長部さんは「いやもう、僕はどう焚きつけるかだと思っているからね」と笑っていましたが、それで伸び悩んでいた自分を見直すことができました。山下さん、長部さんという「ついていきたい」と思える存在が前にいると思うと、迷いが消えたんです。

少し余談ですが、特販課時代に茂木さんから「加藤さんは爆弾みたい」って言われたことがあるんです。「ロケットじゃないんだよね。ズドーンって落としたら、周囲に影響を与えるという意味で爆弾のほうが近いかな」って。私は、こう進もうって決めると、すごく頑張れるタイプなんですよね。茂木さんのおっしゃる通りエネルギーの爆弾かもしれないです。
メープルダイナーで山下さんと長部さんと出会ったことで、エネルギー爆弾の導火線に再び火をつけていただいたというか、自分のモチベーションがアップデートされたと思います。

産休・育休からの復帰

前例がないなら、私がなる。産休で再認識した開拓者スピリッツ

Q.メイプルダイナーで店長をされている時、産休を取られています。どのようなお気持ちでしたか?

メープルダイナー新宿ミロード店の店長になったのが2018年の12月でした。年が明け、モチベーションを上げて頑張り始めたところで、コロナの影響がだんだん大きくなってきたんです。お客様への接する時もある程度の距感を持たなければいけないですし、触れ合うことも難しくなってしまって、どうすればお店の魅力を知っていただけるかを考えるのが難しかったですね。そして、その後は百貨店の営業に準じて休業することも多くなりました。そのこともあって、少し早めに産休をいただくことになりました。

私自身、出産後の復帰を諦めるという選択肢は全く考えてなくて、ずっと正社員で働き続けたいと思っていました。旦那さんともそこは考えが一致していて、育児にも協力的ですし、やっていけると考えていたんです。 ただ、自分が妊娠するまで産休の情報を集めることもなくて、実際に妊娠して、産休復帰の社員がどのくらいいるかを訊いてみると、「どこの部署だっけ?」「企画部にいたかな」と、曖昧な答えしか返ってきませんでした。
でも、それで不安に感じることはなかったです。会社が大きくなっていく途中で、まだまだ整備されていないけれど、こんなに女性社員のいる会社で、そこがシンカしないわけがない。会社は絶対に課題感を持っていて、今後1、2年で取り組んでいくだろうし、いくべき。もし取り組まないなら私がやるぐらいの気持ちになりました。自分では気づかなかったけれど、開拓していくことが好きなのかもしれません。
ただ、実際に私が復帰した時には、私が前のめりに考えていた以上に会社は考えてくれていて、東さんをはじめ、人事総務の方たちがすごく熱心に取り組まれていました。東さんが「私、変えていきたいんです。お話を聞かせてください」と声をかけてくれた時には、今後良くなっていくだろうと思えたし、会社への信頼感がさらに強くなりました。

2020年の5月に産休に入って2020年の8月に出産、本当は翌年4月に復帰する予定でした。でも、コロナ禍ということがあって復帰を1年延ばしてもらう形となりました。
実は、この1年間の延長が私にはチャンスにも思えました。もちろん育児はありますが、まとまって自分の時間が取れるのは今だけだなと。それで、この時間を使って宅建(宅地建物取引士)の資格にチャレンジしようと考えたのです。宅建試験は、前職の時に一度受けたのですが、その時は不合格。それが私の中ではすごい挫折経験になっていたんです。今度こそという気持ちで本気で勉強して、試験に合格することができました。
「今はお菓子業界にいるのに宅建にこだわるなんて」と思われるかもしれませんよね。でも、リベンジしたいというだけでなく、シュクレイの中で生かせる機会があるかもしれない、絶対ムダにはならないという期待もありました。
実際、シュクレイはいろいろな場所に店舗を出していますし、そこでさまざまな建物や不動産の知識が必要になるかもしれません。私自身、CowCow Kitchen、メープルダイナーの立ち上げに携わらせていただいて、店舗開発にも興味を持つようになりました。今すぐ生かせる知識ではないかもしれないけれど、将来的に必要とされた時に貢献できればという気持ちがあります。

かなり濃い産休を経て、復帰したのが2022年の4月。シュクレイで「初めてで、唯一」のフルタイム復帰です。本当は私が送り迎えをする前提で保育園を探していたのですが、たまたま見つかった保育園が旦那さんの職場の近くで。それでフルタイムが可能になりました。これもすごくツイてました。
シュクレイ社内で、これから産休を取りたいと考える方もいると思うのですが、諦めないでほしいですね。本人が出産後は家庭に入りたいと思うなら、それが正解だと思いますが、復帰してキャリアアップしたいのにライフワークバランスがうまく取れないという場合には、会社に相談していいと思います。人事総務の方たちが環境をより良くするために頑張っていますし、そうした相談が増えるほど、会社もシンカしていくことができます。

働くとはどういうことか。私の仕事観

馬力から効率へ。出産を機に変化した働き方

Q.あなたの人生において仕事とは何ですか?

結婚して子どもができるまで、私は「5年は突っ走る!」と考えて働いていました。先ほどの爆弾のお話ではないですが、「とにかくやる! 馬力で乗り切る!」みたいな(笑)。
ただ当時は実力以上にやろうとして、経験者なら1、2時間で終わるような業務を、自分でもがきながら馬力で乗り切ろうとするところがありました。多分、効率も悪くて時間がかかっていたでしょう。
それが今は、家庭を持ったことがいい方向に作用して、時間の使い方にベクトルが向くようになりました。「今はこの仕事に1時間かかるけれど、絶対30分で終わらせる仕組みがあるよな」と、限られた時間の中でどう成果を上げるかという考え方に変わったんです。
これは私自身に対してだけでなく、組織についても同じです。組織の中で、ふと「これはすごく工数がかかっているけれど、もっと効率化してうまくできる仕組みがあるよな」と考えるようになりました。自分の中にこうした効率目線が育ってきたことは、すごく大きな変化だと思います。
人に貢献できるというのは、大きな喜びにつながります。それは仕事をしていく上でも大切なことだと思うのです。私の上にいる方たちを見ていると、組織全体のことを考えて行動できる人ばかりです。自分1人で仕事をして、成果が上がればいいということではなく、人が好きで、周りの人のことを考えて行動できる人のほうが、周囲からの応援も得られるようになります。結果的にそういう方が成長していくし、キャリアップしていくのではないでしょうか。

未来の自分、未来のシュクレイ

シュクレイが成長していく時のネジや歯車でありたい

Q.これから、どのようになっていきたいですか? 自分と会社の未来力

産休が明け、現在は通販課で商品管理をメインに、出荷業務や外注先とのやりとりなどを行っています。通販課は私が産休に入る前は何千万円という売上規模でした。それが産休から戻ってきた時点で何億円規模、現在はさらに桁違いの売上を目指す規模になっています。最初は自社サイトのオンラインショップから始まったものが、今はAmazonや楽天にもショップがあります。とにかく急成長中です。それだけに、さらに売上規模を伸ばすにはどうすればいいか、いろいろと手探りで進めています。

通販課に関して言えば、こんなふうにしていきたいという、私なりの未来が見えています。今の通販課は、規模が急激に成長したために、必要に迫られるたびにいろんなものを積み重ねていった仕組みになっていて、矛盾点や重複点があったりします。それをひとつずつ紐解いて、正しく整えていくようなイメージをしています。
誰かがいなくなったら動かなくなる仕組みではなく、まず仕組みがしっかりとある状態にして、そこに人がいるから上手く回るようにすることが大事だと考えています。いかにスピード感を持ってその状態に整えていけるかが直近の課題ですね。

私自身の未来はというと、通販課に固執してシンカすることにこだわっているわけではありません。シュクレイのいろんなことに興味があって、何か課題感を感じた時にいろんな目線でシュクレイが良くなるきっかけになりたいなと思っています。今は通販課の仕組み作りにエネルギーを注いでいますが、ある程度、流れができてきた時に、自分の関心は果たしてどこに行くのか。ちょっと心配ですが、楽しみなところでもあります(笑)。

こんなことを言うと生意気だと思われそうですが、シュクレイに入社した時、もしこの会社でうまくいかなかったら、また別の会社に行けばいいと思っていました。年齢的にも30前で、他でも頑張れるという自信もあったし、一度転職を経験していますから、また転職することにも抵抗はありませんでした。
でも、今は何か壁にぶつかったとしても、転職すればいいとは思いません。それよりもシュクレイを変えたい。シュクレイがもっと成長していく時に、私もネジや歯車としてその中にいたい。それくらいここがいい、ここにいたいという気持ちです。こんなふうに考えるのは、きっと私自身がシュクレイのファンだからでしょうね。

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